あれは6月の事でした。
お母さんがそろっと入って来られ
「先生・・・ちょっと家庭の事情がありまして、ピアノ続けられなくなりました。
私は行って欲しいし、この子も続けたいと言ってるのですが・・・・(/_;)
7月一杯で辞めさせてください」と・・・
私「そうですか・・・それは残念です。」
いつも私はショックを顔に出さないようにして、さらっと受けるフリをします。
悩んで出した答えなんだから、そこでかき混ぜるような事を言う事はやめますが、たまに、何で辞める?みたいな子には、言います(笑)
せっかく高校受験を経験して希望の高校に行けたのにね。。。
家庭の事情、お母さんしっかりお話してくださいました。
その時7月一杯ということでしたが、なんと彼は肺気腫になり、そのあと
すぐに入院して手術になりました。
結局は最後の週だけ会えたんです。
最後は代金もいただかず3人で思い出話。
彼との出会いは、結構大きくなってからピアノが習いたいという事で始めました。
ものすごく大人しい子で、ちゃんと会話が成立したことが無いくらい(笑)
だけど、言われた事はちゃんとやってましたが、中学生になったころから
基礎をするような事はやめて、とにかく好きな曲を弾こうというレッスンにシフトしました。
ぷりんと楽譜などで好きな曲を買ってもらって(買うのは大体私で、楽譜代だけお願いします。)
その楽譜を渡すと、次の週には
それはそれはもうすんばらしく綺麗にちょうどいい厚さの紙にしっかりと貼ってあり、
何枚あっても素晴らしいピースとして仕上がっています。
それはまるで『職人』
それがね、毎回、ほんとに一ミリのずれも無いようなものが作ってあるんです。
彼に「もう大きいんだから、お母さんに任せずに自分でしたらぁ?」
と言いましたが「う・・うん・・・いや・・・#$%&&’(&%」
今思うと、お母さんの楽しみだったのかなと思います。
でもね、お母さんが最後に言っておられましたが、
実は彼・・・小さい頃からの説得もかなわず、一度も発表会に出ていません。
そして、ずっと電子ピアノのイヤフォンをして練習していたらしく
お母さんは、ここ数年彼の演奏を聴いていないという衝撃話。
何てこと!!と最後にいったんですが・・・
彼も大きくなったらわかる時が来るでしょう
子供が出来たらわかるかな。お母さんの想いが・・・。
男の子だから、お母さんにはなれないからわからんか(笑)
あなたがコツコツやってきたことは、そんじょそこらじゃ消滅しないからね。
例え、ここで全くピアノを弾くことがなくなって、
おじさんになるまで弾かなくても「弾こうかな」と思ったときに、
必ず弾けるから。
と送り出しました。
今までやって来た財産があるので、信じて送り出すことが出来ました。
(そこまでやってない子には言えないお話ですけど)
また弾こうと思ったら、自分で車の運転して、月謝も自分で出しておいで。
待ってるね♪と。
涙を隠してのさよなら・・・いつも別れは辛いものです。
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