生きていたら今月で63歳になっていた兄・・・
44歳で急死してもう19年になるんです。
6つ離れた兄は、とてもやさしくて面白くて、もてて(笑)大好きな私の自慢の兄でした。
兄も私をとっても可愛がってくれて、釣りが好きだった兄は学校から帰るなり、
「信枝!海へいくで!」と連れて行ってくれたものです。(海の近くに住んでいました)
私は、何度も言うけど、(笑)大人しくて人見知りで、いるのかいないのかわからない子でしたけど、兄の後ろに隠れながら海へ行くと
兄は、釣りをしている知らないおじさんに話しかけるんです。
「今日は何が釣れとる?よー(沢山)釣れとりますか?」
と・・・
私は多分年長さんくらいで、
ええええ?知らない人に声をかけるのって何?と驚きながらも
兄の後ろへついて歩きます。
釣りをしている方に順番に聞いて行くのですよ。兄ったら・・・
でもそこは 人間色々・・・子供のくせに声をかけるな・・と完全に無視する方もいらっしゃるわけで、それでも兄は負けずに違う方に声をかけるわけです。
すると、中には「おおっ今日はのぉよーつれるで~あんたにあげるけ、持って帰りんさい」
という方もいらっしゃるんです。
兄は「ええよええよ。せっかく釣っちゃったんじゃけ、家で食べちゃったらええじゃん」というと
「わしものぉ毎日釣って帰ったらのぉ 女房にめんどくさいけぇって怒られるんよ。ほいじゃけ、あんた持って帰りんさい」
と袋に入れて釣りたての魚をごっそりもらうわけです。
コチとか、ハゼとか、キスとか、そういう小さい言わゆる雑魚ですが、どれもこれも釣りたては美味しいもので、母は喜んで天ぷらなどにしてくれていました。
私は「人に声をかけると得な事が沢山あるんだ」ということを
自然に兄から学びました。
そして、自分以外、家族以外の人間という生き物にもとても興味が沸きました。
人を知るって面白い。そう思わせてくれたのは 兄だったと思うんです。
まぁ家が商売していたので、お客さんに「こんにちは」「いらっしゃいませ」というのは当たり前で小さい頃から電話番でしごかれたものです。
お陰で結婚して転勤で色々いきましたが、
八百屋のおじちゃんと仲良くなってちょっと傷物の安くなったメロンなどを安く売ってくれたりと、お兄ちゃん受け売りのコミュニケーションでお得感を感じたことは何度もあります。
だから初対面の方でも臆することなくお話できるのは、こんなお兄ちゃんの妹だったからなんだろうなと思います。
この年になって思うのは、私がこうしてこの仕事をして来れたのは、
兄が聴いていていたあの頃のポップス(上手な方ばかりでした)は、すごく自分の音楽の感性に刺激をくれたし、それも含め
お兄ちゃんの影響がとても大きかったのではないかと思います。
兄は動物も好きでインコも色んな種類を飼っていました。
愛の深い人だったと思います。
小さい頃、動物を飼った事、柴犬と一緒に暮らした事、兄の後ろに付いて行ったことは私の人格形成に大きく関わった事なのではないかと思います。
それが無ければ、私はいまだに 大人しくて引っ込みじあんなおばさんになっていたと思います。(笑)
となると、周りの大人、環境、で人の性格はどんどん変わっていくのではという事ですよね。
生きる上で一番大事な事は、勉強じゃなく、
人を好きになる事、人に興味を持つ事・・・コミュニケーション能力を磨く事が大事なのではないかと・・・思う今日この頃です。
ちなみに、母の父(私の祖父)は、母にこう言ったそうです。
無口な祖父でしたが
「人はみんな自分より偉いからのぉ 人に色々聞いて習うんで」
と言ったそうです。
そのスピリットは、きっと受け継いでいるのかもしれません。
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