親の覚悟

前回、ピアノを習うのは親の覚悟だと書きました。

昔々

私が小学校4年生の頃、母に「お菓子が作りたいなぁ」

と言いました。単なる相談だったんですけど・・・

母は「よしわかった」と言って、安いオーブンを買ってきました。

自転車で買いに行ったのかなぁと記憶も定かではないけど・・・

クッキー型やら、マドレーヌ型やら、ケーキ型やらいわゆるヒトセット。

本も買って来てくれて

私は心の中で、えっちょっと言ってみただけなんだけどとも思いながら

何気に こちらの覚悟が出来たような気がします。

当時、母はお金を貯めようとそれはそれは お財布締めていましたよ。

ビニール袋も洗って干して使って、魚を一匹買ってきて、さばいて父の酒のあて

夜ご飯、そして次の日の兄のお弁当まで取っていました。

自分の欲しいものを一切買わず、我慢していたのを知っていたので、

あの当時 習わせてもらったエレクトーンもピアノも あの当時1万円でしたからね?

どちらの月謝も。

50年以上前の話。

その金額は子供ながらでも 申し訳ないと思うような金額でした。

だから他の習い事もせず、お菓子を作ると言った娘の願いを叶えたかったのか、単に自分が美味しいものを食べたかったのか定かではないけど(笑) 今度聞いてみよ(笑)

そのお菓子作りセットで、私はありとあらゆるものを作って、母も父も兄も、添加物の入ってない、時々失敗もするし、形も悪いけど、味はいいんじゃない?っていうおやつをお腹いっぱい食べましたね(笑)

その時(オーブンのちょっと後)に買ってもらった 電動ミキサーが、未だに活躍しています。

ナショナルのものですけど、(笑) かれこれ50年、現役です。

母が言うのには、あの時本を見ながら、わざと2人前作ってとか、減らして作って・・・という課題を与えたそうです。

そしたら一生懸命計算してたと言っていました。

もっと砂糖を減らしたら・・・とかね、色んな工夫をしていたように思います。

お菓子作りは私の趣味になり、未だに、時々ハマります。

我が子もそうやってその電動ミキサーで作ったおやつを食べて育ちました。

 

親の覚悟は、子供の覚悟でもあるんですよね。

そして、いい思い出になり、生きる力となるもんだと思います。

 

音楽に関しても 父はケチなわからずや。

母は着物を縫う内職をしていたので、きっと私の月謝はそこから出たんだろうなと思います。

最初は足ふみオルガンから・・・エレクトーンの安いのに変わり、あの当時60万したエレクトーンは本当は父の車になるはずだったと・・・しかもヤマハで決めて帰ったのに、その後母がヤマハに電話してもう一つ ランクの高いのにしてくれました(笑)

父は知りません。(笑)

そしてエレクトーンの先生にピアノを薦められた時、これも母が父を説得して買ってくれました。

その2台を使って、片方の楽器で弾いたのはラジカセに録音して、再生と同時にもういっこの楽器で合わせて弾く。

こういうのがねぇ とっても楽しかった。

そして唯一エアコンのある部屋にそれを置いてたものだから汗だくの母が首にタオルを巻いて、「はい、あれ弾いて」とリクエストをして、それをひとしきり聞いてから

仕事に戻る・・・そんな事をしていましたね。

楽器を買うたびに 母は覚悟じゃなくて、楽しみにしていたような気がします。

でもいつ辞めても良いと思っていたそうです。

十分楽しませてもらったと・・・

 

あの頃のピアノはね、月謝が高かったから誰にでも習えるものじゃなかったんです。

うちは、ケチケチな暮らしをしていましたが、父が商売してたし、母が内職してたから習えましたが・・・

これだけ高い月謝を払ってるんだから、そのお金の元を取るには、良い楽器で上手になってもらわないと困るからその為に必要な楽器を買う。という思考だったような気がします。

母はそんな人でしたね。どうせならいいものを買いなさいと・・・

 

あの時安い楽器だったら、安い音しかしなかったから私は続けていないかもしれない。と思います。

あの時オーブンが無かったらお菓子作りにはまらなかったかもしれない。

 

人生、選択の連続だそうですが、母の選択は旦那に嘘を言ってでも(笑)

子供には良いものを与えたいという・・・

 

父親というのは、うちの父と夫だけ(だと思いたい)かもしれないけど、いつでもどこでもケチケチしてますね(笑)

ケチケチ男の言う事を はいはいって良い妻になっていたら、

私も、うちの子も 今とは違う人生になっていたような気がします。

 

そう、私もよく夫を騙してました。 あ・・いまだに(笑)

 

昔 アグロガーデンで文鳥を買ったとき、12800円の鳥が入ってる箱をみて

レジの方が「え?鳥が12800円するんですか?これを買うのはご主人は承知なんですか」

と言われました。

あの言葉が耳を離れません。

女は会社からもらってくる夫のお金をお伺い立てないと使えない・・・

なんで?命かけて子供産んで育てたのは私ら女やけど?

一銭にもならない家事をしてるのも私ら女やけど?

 

母親っちゅうのは、外の世界からもケチな夫からも(笑)

子供を守って育てていかないといけないもの・・・でした。

昔はね(笑)

 

今は働くお母さんも多く、イクメンのお父さんも多いので

私達のような昭和な育児や考え方じゃないのかもしれないけど(笑)

 

親の選択で子供の人生が少しずつ変わっていく・・・

そんな気がします。 これだけ生きてると。

 

 

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